善養寺井(旧名 善養寺歩由)さん (2018年・A卒)の初個展「At a Brink」が開催されます

「善養寺 井 個展 At a Brink」

会期
2026年8月11日(火祝)- 23日(日)・時間午後1時〜午後7時
(休廊日:8/17(月), 8/18(火))
会場
「下北沢アーツ」
〒155-0031 東京都世田谷区北沢1-40-9-1F
小田急小田原線 / 京王井の頭線 下北沢駅東口より徒歩4分


善養寺井は1999年東京生まれ。2023-2024年ドイツ、ハレ・ギービッヒェンシュタイン城・芸術・デザイン大学 、ガラス・ペインティング学科留学、2025年東京藝術大学美術学部デザイン科卒業、現在東京藝術大学大学院美術研究科油画第一研究室在籍中です。

善養寺は自らが抱いてきた違和感を基に、戦争やジェンダーなど各時代の政治社会状況を背景とした視覚表現に興味を持ち、探究を続けています。そして、2025年東京藝術大学卒業制作展にて発表した《Generated Pimples》(AI美女とニキビマシーンによる「消費を誘発するための女性像」に疑問を呈す作品)がSNSなどで話題になりました。ニキビを消費のために排除された身体の象徴とし、その存在をユーモアと「美しさ」をもって可視化した作品は大きなインパクトと余韻の残る代表作となりました。

初個展となる本展では善養寺が長年関心を持ってきた国家、軍事、徴兵に焦点を当てます。自衛官募集ポスターに描かれた少年少女のキャラクターをモティーフに、宗教や権力の象徴でもあるステンドグラスによる表現に挑戦します。その輝く瞳は、今も続く戦争や人権について鑑賞者に問いを投げかけます。

アーティスト・ステイトメント

再び神聖化するのだろうか。それとも、その眼差しの内部に潜む矛盾や不安を映し出すのだろうか。

近年、憲法改正や軍備増強をめぐる議論が現実味を帯びつつある。自民党の憲法改正草案では、自衛隊は「内閣総理大臣を最高指揮官とする国防軍」として位置づけられ、「主権と独立を守るため、国民と協力して、領土、領海及び領空を保全する」といった文言も加えられている。こうした動きを背景に、私は自衛官募集ポスターに使用されているキャラクターの表象に注目した。

2010年代初頭の「萌えおこし」ブーム以降、自衛官募集ポスターにはアニメ的な表象が取り入れられるようになった。その導入理由としては、募集対象である若年層に親しみを持ってもらうためだと説明されている。現在も一部の自衛隊地方協力本部ではアニメ表象が継続的に用いられ、一般公募のポスターにも同様の傾向が見られる。しかし、そこで描かれる理想化された身体や感情は、自衛隊という組織が担う暴力の可能性や死の現実から切り離されているようにも見える。

アジア・太平洋戦争において、日本軍兵士の死者数は230万人にのぼるとされる。その多くは政府や軍上層部の判断によって生み出された犠牲でもあった。それにもかかわらず、今日の改憲論議や安全保障をめぐる言説の中には、その歴史的反省が十分に継承されているとは言い難く、ときに犠牲や献身そのものを美化する視線さえ見受けられる。

「at a blink」では、自衛官募集ポスターから抽出された瞳を伝統的技法によってステンドグラスへと再構築している。ステンドグラスは非言語的なナラティブの伝達装置であり、信仰を視覚化し、そこで表象されるものたちを物語化・神格化してきた。一見澄んでいるように見えるその瞳は、近づくにつれて汚れや歪みを露わにする。その眼差しは希望に満ちた未来を見つめているのか、それとも全体主義における少年・少女の献身と犠牲を予感させるものなのか。

十分な反省と人権意識の更新がなされないまま、私たちは再び軍事を語ろうとしているのではないか。本作はその瞳を通して、見る者へと問いを投げかける。


善養寺 井(ぜんようじ せい)

旧名: 善養寺 歩由
1999年  東京都出身
2023.10 - 2024.3 ドイツ ハレ・ギービッヒェンシュタイン城・芸術・デザイン大学 、ガラス・ペインティング学科に留学
2025年  東京藝術大学美術学部デザイン科卒業
現在、東京藝術大学大学院美術研究科油画第一研究室在籍中。

展示

2025年
第3回BUG Art Award ファイナリスト展(東京・八重洲)
TOKYO MIDTOWN AWARD 2025 ファイナリスト展(東京・六本木)
2024年
成果展「Broken Window」(ドイツ・ハレ)
2022年
「Future Artist Tokyo」、東京国際フォーラム(東京・丸の内)
「Setouchi Art Jack」 参加(香川・瀬戸内)
2021年
グループ展「〇〇〇〇ッ〇」アメ横センタービル(東京・上野)
2人展「Consuming Commodity」銀座中央ギャラリー(東京・銀座)

受賞

2025年
第3回BUG Art Award ファイナリスト展 入選
TOKYO MIDTOWN AWARD 2025 入選
東京藝術大学卒業・修了作品展 平成藝術賞
2023年
Geidai Art Fes 2023 優秀賞

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