同窓生インタビュー-4 「変わりゆくあなたに変わらない光」ともに歩む金工作家＆グラフィックデザイナー

2023年7月29日 2023年7月29日

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店頭に置かれた繊細なデザインのジュエリーは全て半田海央(はんだみお)さんの作品です。そして、ショップのビジュアルのデザインを担当しているのはフリーランスのグラフィックデザイナー、佐藤由伽理(さとうゆかり)さん。公私ともにパートナーであるお二人は2023年3月に、東京都荒川区の西尾久(都電小台駅)に共同で金属ジュエリーの工房兼ショップ、そしてグラフィックデザインオフィスをオープンされました。
今回はお二人の素敵なショップ兼オフィスを訪問し、卒業から今まで、そしてこれからのお話をお聞きしました。

語り手（左）：: 半田海央（2012年・A卒）金工作家
語り手（右）：: 佐藤由伽理（2013年・G卒）グラフィックデザイナー
聞き手：: 鶴飼千春 (作家名：工田春　2013年・D卒）colifer102 店主/イラストレーター

イタリアの古代遺跡に魅せられた子どもの頃の感動をジュエリーに

鶴飼：半田海央さんは、工芸を卒業後、山形県の東北芸術工科大学芸術学部美術科工芸コース入学して金属工芸を学び、その後ブランドから受託してジュエリーを製造するOEM生産のジュエリー制作会社に正社員として入社されました。ですが、オリジナルの作品制作に力を入れたいという気持ちから会社を退社され、この春、工房兼ショップを設立されました。半田さんのブランド名『ROVINA (ロビーナ)』はどのような意味ですか？　

半田：『ROVINA』はイタリア語で遺跡を意味します。幼少期、イタリアに住んでいた時によく目にしていた古くからの建造物や古代の装飾品などに感動したことがきっかけでジュエリー制作をしています。学生時代から『ROVINA』として委託販売サイトで販売してきました。

鶴飼：どんな思いを込めて作品作りをされているのでしょうか？

半田：『ROVINA』のブランドコンセプトが「変わりゆくあなたに　変わらない光」というものなのですが、イタリアで見た古代の装飾品は金で作られているものが多く、金は劣化もしないし錆びないため今も当時のままの姿で残っていることにすごく感動しました。僕が主に扱っているのは、市場ではアクセサリーに分類される銀や真鍮といった金属で、比較的安価ないわゆる「プチプラ」や、デザインも一過性のものが多いのですが、『ROVINA』としてのデザインは、あくまで自分がイタリアで見たもの、感じたことをデザインに落とし込んで制作しています。金とはちがって銀や真鍮は変化がありますが、その変化もあなたに寄り添いながら、ずっと手に取ってもらった時と変わらぬ気持ちで身につけて楽しんでいただけたらと考えています。

あなたがわたしに伝えてくれたこと全てを大切にデザインしたい

鶴飼：佐藤さんは今年の春、フリーランスに転身されたということですが、現在お仕事はどんなことをされていますか？

佐藤：今はベンチャー企業のウェブデザインの補助業務や、引き続き大手量販店の飲料のパッケージデザインをしています。少しずつですが、個人の方からいままでとちがった方向性のお仕事もご依頼いただくようになりました。『ROVINA』のデザインも印刷物やデータ化等でお手伝いしていますよ。

鶴飼：新しいオフィス名称の『Tatol(タートル) 』にはどういう思いが込められていますか？

佐藤：『total(トータル)』のアルファベットをもじってつけました。クライアントさんへのヒアリングを重要視していて、『あなたがわたしに伝えてくれたこと全てを』大切にしてデザインしようという想いがあるので。そして以前から2人で亀を飼っているのですが、亀は万年、というので縁起もいいし、永くやっていけたらいいなと(笑)。

鶴飼：半田さん、佐藤さんお二人それぞれの『これから』のことをお聞かせください。

佐藤：いっぱいいっぱいにならないよう、一つのことを大切にしつつ、慣れてきたらこの西尾久の地域の個人の方のお手伝いとか、アーティストさんたちのサポートとかもできたら嬉しいです。あとはぼーっとしたり、遊んだりする時間も楽しみつつフリーランスとして頑張っていきます。

半田：今はメッセンジャー(自転車による緊急性の高い書類の配達員)の仕事と二足の草鞋ですが、ゆくゆくは制作一本で生活していけるようになることが目標ですね。自分が作りたいものを群れることなく探求して、自分自身の変化に作品のクオリティを高めてついていくよう、より良いROVINAらしいものを展開していけるようにしたいです。