連載-2 もっと知りたい都立工芸の歩み

東京オリンピック1964と工芸

第18回のオリンピックが東京で開催された1964年。10月10日の開会式の前日、9日にオリンピックの聖火引き継ぎが都立工芸の校門前(水道橋旧校舎)で行われ、本校生徒はもとより周囲は鈴なりの人だかりであった。この東京オリンピックには在学生の約6割が学校から見学に行った。先日の2022年度同窓会総会での記念講演で、講師の福田氏(1967年D科卒)からは、東京オリンピックの時「後楽園ホールでボクシングの試合を観戦した」というお話もあった。

日本を代表するグラフィックデザイナーの一人である原弘(はらひろむ)は母校の教員を務めながら、新装花王石鹸のパッケージデザイン(1930)やパリ万博(1937)日本館の写真壁画の構成などで活躍。1941年工芸を退職、戦後は装丁ほか様々なグラフィックデザインで大きな功績を残した。東京オリンピックでは組織委員会のデザイン懇談会に参加、書体の統一および広報を担当し公式招待状、賞状、公式広報、標識、入場券などの制作を行った。


※2022年7月11日(月)〜8月14日(日)/2022年9月5日〜10月2日(日)まで武蔵野美術大学美術館・図書館では「原弘と造型:1920年代の新興美術運動から」を開催予定。(原弘は戦後、武蔵野美術大学でも教鞭をとっていた)