「華道の世界」1. 岡田博幸(2004年・A卒)
皆さん、「茶道」「書道」「華道」を体験されたことはありますか?
岡田博幸(2004年・A卒)
「梅の生花正風体」(しょうかしょうふうたい)
茶道はお抹茶を観光地で、書道は小学校でご経験があるのではと思います。しかし、華道は剣山という道具の名前は知っていても、体験したことが無い方が多いと思います。日本人にとっては聞きなじみのある伝統文化も、体験となると急に縁遠くなってしまいます。また、今はインバウンドで世界から日本の伝統文化や無形文化遺産がとても注目されています。
そんな中で華道は2024年12月16日に国の無形文化財に登録されました。そこで、今日は世界から注目を集めている伝統文化のひとつ、華道のお話をさせて頂きます。
華道の歴史は550年以上になり、流派は300流派以上になります。そして、僕は「池坊(いけのぼう)」の華道の先生を行っています。(※池坊が華道の起源とされるため、「~流、~流派、~風」などはつかない。)
華道は元々、仏前を飾る’’供華’’の花が発展し、室町時代以降に公家や武家が行事の際に、邸宅内を草木、花で飾る「たて花」が行われるようになる中で、様式が確立していきました。その後、前田利家邸で豊臣秀吉の迎え花として花をいけたり、仁考天皇から昭和天皇まではご即位に合わせ、花が献上されてきています。現在は、歴史を受け継いだ華道、現代アートのような、いけばなと多種多様に発展しています。
ここで、池坊のいけばなを僕がはじめたきかっけと共に、その魅力をお伝え出来ればと思います。僕の前職はタイの孤児院の支援を行うNPOで働き、多くの方と出会い、人の生き方に興味を持ちました。その後、国家資格であるキャリアコンサルタントの資格を取得しました。そのキャリアコンサルタントでの学びと、華道の考え方に共通点を見出し、自分がより良く生きる上で華道を趣味で始めました。
池坊のいけばなでは、花は季節、茎の伸びや動きはその植物の生きた時間、そして葉は生命力を表すとされます。その視点で植物を観察すると、どの花も草木(そうもく)にも個性が溢れ、街を歩くだけでも心が躍るようになりました。
そして、常に変化を続ける植物を見つめながら、集中して花をいける時間はとても贅沢な時間だと感じるようになりました。これは、工芸高校の学生だった頃に、無心で絵を描く時間、作品を作りあげる時間もそうだったなと、いけばなを始めてふと思い出すようにもなりました。
つづく