「華道の世界」2.  岡田博幸(2004年・A卒)

皆さん、「茶道」「書道」「華道」を体験されたことはありますか?

岡田博幸(2004年・A卒)

立花正風体(りっかしょうふうたい)

いけばなは’’一度切ったら戻りません''。だからこそ作品をいける時には、花と自分との対話を繰り返します。いける過程では、すぐ花を切れる方、ずっと悩んで切れない方、決めていても少しずつ切る慎重な方と、その人の日々の習慣が露わになります。そして生け終わった作品には、その時のいけ手の心情が表現されます。同じ花と草木を使用しても、完成が全く違います。明るい作品をいけるかた、暗い作品をいける方、ひねりを加えた作品をいけるかた。作品には本人も気づかない、本音とその方の過去の記憶が投影されるのでとても面白いです。

また、伝統的な花を学ぶ時には、剣山を使わず、竹や藁(わら)、馬酔木(あせび)の又木を花留めとして花をいけます。華道が始まった時代には、剣山という便利な道具は存在していないので、当時あったものを工夫しながら扱います。これは不思議ですが、技術があれば剣山よりも竹や又木の方が、はるかに作品を固定する力と植物を延命させる力があります。いけばなは古くからあるからこそ、伝統的な作品の花器、花留めと作品の全てが自然にあるものを使用します。扱いには自然摂理を理解することが大切になりますので、現代のサステナブルにもつながる考えがあります。つまり、いけばなは自己対話から自分の性格や心情に気づけ、日本の歴史と自然摂理を学ぶことが出来る魅力的なものだと思います。そして、いけばなを通じて、日本のアイデンティティを感じながら、世界の方と交流が出来るのも魅力です。

そして最後に、華道という言葉につく、「道」の意味は、人が何度も同じ道を行きかうことから、’’同じことを繰り返しながら最高を目指す’’という意味だそうです。僕も日々精進をして、今後もいけばなの素晴らしさを多くの方に伝えられたらと思います。

ご興味を持たれた方は、代々木で「はないろは」という、いけばなの教室を行っていますので、是非お待ちしています。

惑星(自由花)